こちら、MOB飼育係ver.ハロウィン2[dzl]
第4章 おんりー死神目線
最近、自分が住んでいるライムさんの家が騒がしくなってきた。
最初は気にしないようにしていたけど、何度もハナさんって人間もやって来るから、何か大きなことでもしているのでは、と自分は考えた。
そしてカレンダーを見て気づいた。そうか、もうそろそろハロウィンなんだ。
自分たちはハロウィン手乗りMOBだ。カボチャの飾りやコウモリの飾りなんかがあちこちにあったMOB販売店のことをよく覚えている。自分たちは人間の余興のために生み出された生き物らしい。
ということは、その余興のために、今年はライムさんの家でハロウィンの何かしらをやるんだろうと自分は考えた。それはドズルさんも同じだったみたいで「何か企んでいるに違いない」という呟きに俺は同意した。
するとドズルさんが、ならば飼育カゴから脱出する方法を考えようと言い出した。それなら自分、すぐに出来ますよ。俺は自分の飼育カゴの錠を外し、ドズルさんの飼育カゴのフタも開けてあげた。すると少し離れたカゴにいるおらふくんが、おんりーがそんなことするなんて、と呟いた。おらふくん曰く、自分は真面目な性格に見えたらしい。
「卑怯道極めてるからね」
と俺は答えて他のみんなのカゴも開けた。夜中に自分の飼育カゴを開けているぼんさんの手癖を見ていたものだから。
「え、おんりーちゃん、俺のは?!」
なのにぼんさんは、自分でフタを開けずに俺に開けろと言わんばかりの様子。ぼんさん、本当は手先が器用なところ、隠し切れてないことに気づいていないのかな。
とりあえずみんなの飼育カゴを開けて脱出には成功した訳だけれども。次に何をするんだろうとドズルさんへ目を向けると、とんでもないことを言い出した。
「あのハナって人間のカバンの中に侵入しよう。ライムと何を企んでいるのか手掛かりを見つけるんだ」
自分はドズルさんに賛成したけど、ぼんさんだけは不安そうな顔をしていた。またただの面倒くさがりが出ているのか、それとも別のことを知っているのか……聞き出す理由もないから何も言わないけど、俺は少しだけ、ぼんさんの心境が気になった。