第7章 恋柱•蛇柱との任務 美形の鬼
「こんばんは、可愛いお嬢さん達」
斬り捨てられたままの猫は口だけ動かしてそう話すと、ふっと霧になり消える。
「…おや、男もいますね。穢らわしい」
そう言ってゆらりと現れたのは、銀色の長髪を靡かせた美形の男だ。
浮世離れしてると感じるほどの顔の作りだ。
達は鬼の目を探るも、現時点で十二鬼月では無い。
ただ目にはバツ印が入っており、"元"十二鬼月だ。
「うーん…元、か。柱三人もいらない案件だったな
」
はぽりぽり頬をかくと抜刀し、美形の鬼に向かって攻撃しようと飛び降りる。
しかし鬼はそれより先にの攻撃を避けると、小芭内に向かって人差し指を伸ばし、突如伸びた爪で攻撃を仕掛けた。
「っ!」
小芭内は咄嗟に避け、後ろに飛び下がる。
爪は地面に突き刺さり、地面は深々と割れている。
「男は…邪魔だ」
声色を明らかに変えた鬼は、敵意剥き出しで小芭内を睨みつける。
「…チッ、忌々しい鬼だ。おい、貴様が早く斬らないと俺が首を刎ねてしまいそうだ」
小芭内はをギロリと睨み、圧をかけてくる。
「せっかちだなぁそなた。ではお先に」
は苦笑いすると、今度こそ鬼に向かって刀を振おうと軽やかに近付く。
「…お嬢さん、私の話を聞いてくれるかな?」
の刃が鬼の首に当たる直前、鬼と目が合い、そう発言したと思うとの視界がぐにゃりと歪む。
「っ…」
は酔ったような感覚になり、身体の重心がぐらりとなる。
刀を振った勢いのまま、倒れ込みそうになる。
その声を聞いていた蜜璃も例外ではなく、ふらついてしまう。
「っ甘露寺!」
小芭内は咄嗟に蜜璃に近寄ると、倒れないよう支えようとする。