第7章 恋柱•蛇柱との任務 美形の鬼
「貴様、表に出ろ…!!!!」
刀の柄に手を掛け、露骨に喧嘩を買おうとする小芭内に、くっくと口に手を当てて笑う。
「面白いな、そなたは。刀をしまえ小芭内。長居しすぎたせいで任務地に着く前に日が沈んでしまう。」
小芭内にマウントを取ったはすっきりした顔でそう言い、蜜璃に行こうと声を掛けると颯爽と蜜璃の屋敷を出た。
「…チッ…」
「さぁ伊黒さん、行きましょっ♡!」
「…あぁ。」
小芭内はハァ、と溜息をつき、蜜璃と共にの背中を追ったのだった。
ー…
街から少し外れた民家が立ち並ぶ場所へ辿り着いた三人は、辺りを警戒しながら巡回する。
「この辺りに鬼が出没しているのか?」
は気配が無いな、と民家を眺めながら歩く。
「…そうだ。街の人間によると、大変な美貌を持つ男が夜な夜な一人で歩く女性を招き寄せ、喰らうらしい。被害は何人も出ている」
小芭内は蜜璃の隣にピタリとつき、常に刀の柄を握りすぐ抜刀出来るようにしている。
はその言葉を聞いた途端、遠い目をする。
「………小芭内。そなた私を警戒してついてきたのでなく、その美貌を待つ男の鬼に蜜璃が誑かされるんじゃないかと心配してついて来たんじゃ…「黙れ。早く探せ」」
小芭内に殺されそうな勢いで睨まれたは、やれやれと手を挙げる。
「わかったわかった。私はしばらく一人で行動する。小芭内がそれだけ警戒していたら、いくら蜜璃が可愛くても鬼が出て来れんだろう」
「ちゃん、一人で大丈夫なの?」
蜜璃は眉を下げて心配する。
「心配いらない。雑魚鬼如きに負けるようでは価値が無い」
の代わりに小芭内がそう答えると、は厳しいな、と大きくため息をつく。