第6章 霞柱との休息 新型の釜
「美味しい…」
はジーンとしている。
「間抜けな顔だね。じゃあ僕はもう屋敷に戻るから」
無一郎はさらりと毒舌をくらわせると、元来た道を戻ろうとする。
「なら私も帰る」
は慌てて無一郎についていったのだった。
ー…
無一郎を先頭に、木々の中を二人はゆっくり歩く。
「…君さ、何で僕に構うの?」
帰り道、しばらく無言だった二人だが、意外にも無一郎が沈黙を破る。
ずっと疑問だった事を聞いてみた。
無一郎に寄ってくるのは、対等な実力、立場の柱達だけ。
他の隊士は無一郎を恐れてなのか、寄ってくる事はないし、の事は、柱合会議でも蝶屋敷の時にも強く拒絶したはずだ。
「…理由が無いと駄目なのか?」
「そうじゃないけど、僕に構う必要もないでしょ」
「…単純に、そなたといると何となく落ち着くから」
「落ち着くって…」
その言葉に振り返った無一郎は、真っ直ぐこちらを見つめてくるの顔をじっと見つめ返す。
のその表情だけで、その言葉が嘘である事がすぐ分かるのに、真実である事も伝わってきて、無一郎は歯痒くなり顔を逸らす。
「…あとは一目見て可愛いと思ったからだ!」
は無理矢理作ったと感じる笑顔で無一郎に近付き、ポンと頭を撫でる。
「…僕は男だから」
「ん?何だ?」
無一郎の呟きが聞こえず、が首を傾げて聞き返した刹那だった。