第6章 霞柱との休息 新型の釜
「…そういえば、無一郎の家の釜は新品同様だったな…普段自炊はしてないのか?」
が無一郎の背中に問いかけると、無一郎の動きがぴたりと止まる。
「……僕は忙しいから米を炊く時間が無いんだよ」
「最新型の釜だから別に自分で温度を管理する必要も無いぞ?ほぼ放っておけは済むのに」
「うるさい」
無一郎はピシャリとそう言うと、また歩き出そうとする。
「分かった!米を炊くのが苦手なんだろう!」
がにっこり笑ってそう言った瞬間、無一郎はの背後に回り膝カックンさせる。
「うわぁ!痛い!そう怒るな…人には得意不得意があるだろう!良いではないか」
はどしんと座り込まされ、泣く泣く言う。
「ちょっと料理が得意だからって調子に乗らないでよね」
「褒め言葉として受け取っておこう」
はよいしょと立ち上がると、無一郎の持っていた釜を取り上げて、元あったところに戻した。
「は?何す…」
「私が無一郎のために炊こう!あとふろふき大根も作りに行く!」
は嬉しそうに笑って無一郎に言う。
「いや良いから。別にふろふき大根も好きじゃ…」
「嘘をつくな。ふろふき大根の時だけ顔が違ったぞ!好物なのだろう?そして使わない釜なんぞ買わなくても、私が作ればいい!よし!浮いたお金でかすてぃらを買いに行こう!」
「……はぁ」
無一郎は話が通じない、とばかりに手を上げて店を出る。
はそんな無一郎の前に回り込んで手を引っ張ると、かすてぃらの店へと誘導する。