第6章 霞柱との休息 新型の釜
「…本当に食べなきゃいけないの?」
無一郎は嫌そうな顔をしているものの、立ち上がって大人しくついてくる。
「とか言って食べたいんだろう?素直じゃないのも可愛「米以外にも何か作ってるんだよね?早く出してよね」…はい」
無一郎は食卓につくと、人差し指で机をコンコンと叩いて急かす。
はそんな無一郎にくすりと笑うと、米を茶碗によそい、作ったおかずを並べる。
綺麗に焼かれた魚、盛り付けられた山菜。
決して華美な食材ではないが、こだわりがあり、美味しそうに作られている。
そして無一郎が次に目にしたのは、ホクホクと茹で込まれたふろふき大根だ。
大根の上にはとろりと煮込まれた味噌が乗っていて、より食欲をそそる。
「…これ…」
無一郎はふろふき大根に視線が釘付けだ。
「ん?大根は嫌いか?」
「…いや、別に。毒は入ってないよね?」
「入ってないです…信用皆無だな…」
「当たり前でしょ、君、素性も分かんないだから」
無一郎は箸を取り、頂きますと綺麗な所作で挨拶をすると真っ先にふろふき大根を食べ始める。
「………」
口いっぱいに大根の甘さが広がり、味噌と合わさって絶妙な味を出している。
特に発言はないものの夢中で食べていることから、味は悪くなさそうだ、とは安心する。
「美味しい…?」
はつい聞いてしまう。
「……お腹が空いてたから。食べれなくは無い」
「ふふっ…そうか」
頬いっぱいにふろふき大根を詰め込みながら、すん、とした表情でそう答える無一郎に笑いが込み上げて来て、は顔を背けてしまう。
「何?笑わないでくれる?」
無一郎はジトッとを睨み付けるも、箸は止まることはない。
「…戦国の世にいた頃、長いこと小料理屋で勤めていたんだ」
はぽつりと話す。
「…ふぅん」
無一郎は並べられた料理を見て納得する。
確かに普通の家庭ではなかなか出てこない味、飾りつけだったからだ。
「…何で小料理屋にいたのに鬼殺隊に入ったの?」
初めてに興味を持ったのか、無一郎から質問が出る。