第5章 音柱との任務 忍びの鬼
鬼は目を細め、あっそ、と呟くと、目掛けて黒い球体を複数投げつける。
爆薬だ。
天元は巻き込まれないよう木の影に隠れる。
が後ろに飛び下がり避けたと思いきや、避けた先でも爆薬が仕掛けられていたのか、もろにくらってしまう。
「ゲホッ、ゲホ…せっかく綺麗に着飾ったのに真っ黒…」
は多少傷付いてはいるものの、小言を言える程度には大丈夫なようだ。
しかしその直後、爆発の煙で隠れていた鬼がの背後を取り、後頭部に思い切り肘打ちを食らわす。
避けきれなかったは気絶したかのように前のめりに倒れ込む。
だがその時、は両手を挙げた。
「気絶させられかけてんのに受け取れんのかよっ…!!!」
天元は思い切り鬼目掛けて日輪刀を投げつける。
案の定、鬼は天元が投げた日輪刀を弾いてしまう。
日輪刀はカランと音を立てての隣に落ちる。
鬼は倒れているを冷め切った表情で見下ろす。
「気絶したみたいだね。お仲間に刀をもらったところで意味なかったじゃん。かわいそう」
鬼は舌なめずりすると、容赦無く短刀での首目掛けて振り下ろす。
あーぁ、やられたなー。
あの距離ではさすがのも避けきれまい。
女の死ぬところは見たくない、と天元は顔を逸らして目を瞑る。
間も無く肉が裂け、血が飛び散る音が鮮明に聞こえてくる。
ー鬼を殺した後、せめての遺体だけは回収してやるか、と天元は片目を開ける。
がー。