第5章 音柱との任務 忍びの鬼
「なに、お前ド派手に時透に一目惚れでもしたのか?」
「…いや、そうではない。何やら嫌われているから気になってな。」
はちょっぴり悲しそうな顔をすると、鏡の前に立って自分の姿を眺める。
「…アイツも色々抱えてるからな。まぁ、オマエが嫌いっていうより圧倒された事にイラついてんだろ。初見で時透の攻撃を受け止める奴はそうそういねぇ」
「そりゃぁ彼が天才と言えども、年期が違うからな。そう簡単に抜かれては困る」
は苦笑いだ。
「年期って…オマエいくつよ?」
「十六だ」
「…マジか」
「何だそのマジって言葉は。聞いた事がない言葉だ」
「本当かって聞いてんだよ」
「嘘はつかない。見てみろこの潤った若い肌を」
は頬をペチペチと叩く。
「…まぁ俺より下だとは思っていたがそこまで下だとはな。前世でどんな修羅場を切り抜けてきたんだよ」
天元は驚嘆する。
見た目云々よりも、その若さでこの強さを誇っているのだ。
「…まぁ、指南者が上限の壱だったからな」
「あ?」
「何でもない、さぁ行くぞ」
は天元に日輪刀を預けると、スタスタと屋敷の門へ向かったのだった。
ー…