第4章 炎柱との任務 子供を喰らう鬼
「…不用意に女性が男に触れてはいけないと昨日も言ったはずだが。君に他意は無いとしても、男は勘違いするぞ」
杏寿郎はの耳元で囁くように言う。
「…っ」
昨日からの言動には何かしら振り回されていた杏寿郎が、仕返しとばかりに仕掛けたのだ。
さぁ、この状態でどんな言い返しをしてくるかー
杏寿郎が楽しみに待っていると、は杏寿郎の胸に顔をつけたまま微動だにしない。
「…?」
疑問に思った杏寿郎はの顔を覗き込むように見る。
「…よもや!」
杏寿郎の視線の先には、林檎のように真っ赤に染まったの顔があった。
「わ、わ、わあーーー!!」
顔を見られたは杏寿郎の胸をドンと押して突き飛ばし、突き飛ばす体制のままガサササと素早く杏寿郎と距離を取った。
「ほ、本当そなた達炎柱は新旧揃いも揃って…!妻子がいるのだろう!?ふ、ふしだらな…!!!」
は見た事がないほどあたふたとしながら顔を赤くして怒っている。
冷静に言葉を返してくるかと思いきや、と杏寿郎は目を丸くしている。
無一郎にあれだけの下ネタを言っていたし、杏寿郎に対しても挑発するような言葉や態度をしていたから男には慣れていると思っていたが、どうやらそんなことも無かったようだ。
「くっ…ふふ…」
杏寿郎は笑いを隠そうと口に手を当てて顔を逸らすが、にはバレバレだ。
「なんだ!笑うな!!」
「ふ…すまない!想定外の返しをされてつい笑ってしまった!ちなみに俺に妻子はいない!」
「え、いないのか?」
は突然真顔に戻る。