第4章 炎柱との任務 子供を喰らう鬼
「弱き者を助け、鬼を滅する。それが俺の使命だ。うつつを抜かしている暇はない!」
「そんなのは関係ないぞ杏寿郎。暇なんぞ簡単に作れるだろう。作れ。わかったな?優秀な遺伝子は残した方が良い。後世の役に立つからな」
は結婚を促す近所のおばさんのような発言をし、腕を組みうんうんと自分の発言に納得している。
「…それならば、君が産むか?」
少しムッとした杏寿郎はににじり寄る。
「っ…」
は先ほどとは違って少し引き攣った顔で杏寿郎を見上げる。
のその表情に、少しからかいすぎたか、と杏寿郎が焦ったその時だった。
「…普通の女子のように子を産めれば良かったのだがな」
は哀しげにふっと笑うと、刀の柄をゆっくり撫で上げる。
ー子を産めない理由でもあるのか。
子宮の病かそれ以外なのか。
鬼殺隊だからか。
忖度した杏寿郎はそこまで踏み込んだ事を聞けなかった。
「…さぁ、次の任務の時にはビフテキを奢ってもらうぞ。高そうだから金を貯めておけ。風呂に入ったら部屋を借りる。一刻ほど寝かせてもらう」
はくわっと欠伸をすると、ひらりと手を振って杏寿郎の屋敷の中へと入っていく。
「…彼女のことを知るにも色々と覚悟をしなければならないようだな」
杏寿郎は髪をかきあげふぅと息をつくと、今度こそ着物に着替えるため自身も自室へと消えて行ったのだったー。