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愛を紡いで呪いを断つ

第4章 炎柱との任務 子供を喰らう鬼


歌詞は聞いたことのない日本語も混じり、もしかしたら何処かの方言なのかもしれない。

杏寿郎にはその歌詞の意味があまり分からなかった。




「ァァア…思い…出した…それだ………」

女の鬼はの歌声を聞いた途端、力が抜けたように立膝になりうずくまる。



「…この子守唄で合っていたようだな」

は歌うのをやめ、うずくまった鬼を見下ろす。

「ううっ…お舟…私の…大切な娘が…取られちゃったの…」

「…遥か昔は幼子も十にも満たないうちに奉公に出されたらしいな。難しい時代だった」

「憎い…憎い…」

「辛かったな」

はうずくまる鬼の背中をさする。




「っ…!」
杏寿郎はのその動作に慌てて近付こうとするも、に目で制される。






「…思い出した所を悪いが、そなたは何の罪も無い子供達を殺した。どんな理由があろうと絶対に許されない。報いは受けてもらうぞ」

はさするのをやめ、静かに、そして一瞬で女の首元に刀を突き付ける。



杏寿郎はの日輪刀に目を向ける。

月の光と夜の闇を混ぜたような色ー
灰色と呼ぶには暗く、黒というには明るい色。
蝋色が一番近いのかもしれない。

見たことのない日輪刀の色だ。


刀の刃の長さも杏寿郎の使う刀の刃よりも長く、女性が片手で振り回すのはかなり大変だろう。


しかしはまるで子供が拾った木の枝を振り回すかのように軽々と操っている。










「…私はただ、迷子になって泣く子供をあやしたかっただけなの…ごめんなさい…うぅ…」

「…最後に思い出せて良かったな。あの世で自分の子供に会えたら歌ってやれ」

はそう言うと、あっという間に鬼の首を刎ねた。


女の鬼はなんの抵抗もする事なく、跳ね飛んだ顔の口の形を変え、ありがとう、と囁いた。

そしてすぐに塵となり、跡形もなく消え去っていった。



「…」

は刀についた血を振り払うと、静かに納刀する。


正面を向いたの顔は、杏寿郎がゾッとするほど冷たく、人間味を感じない表情だった。

ー…


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