• テキストサイズ

愛を紡いで呪いを断つ

第4章 炎柱との任務 子供を喰らう鬼


「子供の亡骸…」

は乳母車の中身を目を細めて見る。


頭部が破損している遺体、臓物が飛び出て手足がちぎれている遺体。

それら全て子供のものだ。





普通の人が見たならば卒倒するであろう光景でも、と杏寿郎は目を背ける訳にはいかなかった。






「…の。分からないの…」

「…なんだ?」

女の鬼の囁くような声には反応する。


「分からないのよ……子守唄が…思い出せないの…」

「子守唄?」

「子守唄が歌えなくて、泣き止まない…子供達に…苛ついて殺しちゃったのよぉ…うう…」

「……」
は険しい表情のまま構えた刀を降ろす。







「滝。油断するな。」

杏寿郎は怒りを滲ませて言う。

「分かっている。だが待て杏寿郎」

は女の鬼に近付く。

「…どのような歌だ」

「それが…何一つ…分からないのよ…」

「そうか」



は女の鬼を上から下まで眺めた後、目を閉じ、考えを巡らせるような仕草をする。



「…滝。鬼の戯言など聞く価値が無い!君が斬らないのならば俺が…」

痺れを切らした杏寿郎が、にそう言った瞬間、聞きなれない唄が聞こえてきた。






「おどまいやいや
泣く子の守りにゃ
泣くといわれて憎まれる
泣くといわれて憎まれる

ねんねした子の
かわいさむぞさ
起きて泣く子の面憎さ
起きて泣く子の面憎さ…」





は女の鬼を見据え、静かに唄を歌う。

その曲調は何処か悲哀が滲む。


/ 80ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp