第6章 6(主人公視点)
「北関東だから弾丸で日帰りも出来るよ」
「決まりだね、3人で行こう」
「分かった…それまでに私は高校に連絡してみるよ」
「高校?何で?」
「やっぱり“あの事”が関係してるの?」
「あの時“あれ”を解決した人達の事を聞いてみようかな…って…」
「それって派遣されてきた背の高い…」
「あー、いたね…カッコイイって騒がれてた子でしょ?」
「高校に派遣元を聞いてみようかなって…
この話は高校にも流れてると思うし…」
「確かに…学校が依頼するくらいだから変な団体って事もなさそうだしね」
硝子や五条君個人に相談するのではなく、高専という組織を通して呪術師を紹介して貰う事を試そうと思った。
ただし依頼料は莫大な金額になるだろう。
実情は知らないが、それくらいは簡単に予想できる。
五条君でなくても構わない、解決できる呪術師を紹介して貰えればそれで良いのだ。
友人の方は恐らく霊能力者のような人になるだろう。
駄目だった場合、呪術師の力が必要になる。
パイプを持っているのは私だけ…動くしかない。
「バス来たよ」
「とりあえず各々で御守り買って備えよう」
「それしかないよね」
眩しい光と供にバスが停留所に停車する。
葬儀場というのは不便な場所にある事が多い。
私達の他にも喪服を着た数名の男女がバスへと乗り込んでくる。
友人達はお祓いの日までどう自分の身を護るかで真剣に話し合っていた。
「先生、ご無沙汰しております」
翌日、私は昼休みを狙って母校に電話を掛けた。
元担任である恩師は運良く電話に出てくれた。
目の前に広がキャンパスの中庭はどことなく母校の中庭を彷彿とさせ、懐かしい気分になる。
『久しぶり、色々と大変な事になってるみたいね…』
「…はい…」
友人達の連続不審死は母校の教員の間でも話題になっているらしい。
説明の手間が省けた。
『他の2人はどう?』
「親戚のつてでお祓いが出来る人を紹介して貰えるか相談してます
…2人とも怯えてます」
『3人とも違う大学だったわよね?』
恩師が電話の向こうで重い溜息を吐いているのが聞こえた。
電話越しに聞こえる声は“あの頃”を彷彿とさせる。
母校の見解も友人達と同じ方向性らしい。