第6章 6(主人公視点)
高校時代のクラスメイトが立て続けに複数名亡くなった。
いずれも事故なのか自殺なのか分からない。
あの時のメンバーだ。
残るは3人。
私と友人。
残穢6
「何で“こんな事”になったのかな…」
「おかしいよね…」
友人2人が喪服姿で怯えるような声色と表情で呟く。
私も喪服で透明な数珠を子供っぽく弄りながら友人2人の会話を黙って聞いていた。
喪服はクリーニングに出しても直ぐに着る羽目になる。
短期間にそれを繰り返し喪服を着る事に慣れてしまった。
ホラー映画のような展開に言葉が出ない。
「…」
「呪いじゃないよね?」
「呪われる筋合いなんて無い!
私達は被害者側なんだよ!」
友人2人が追い詰められたように荒っぽい会話を始める。
葬儀場のエントランスは通夜にも関わらず、出席者でガヤガヤしていた。
「お祓いに行った方がいいのかな…」
「確かに行った方がいいかも」
「…」
「名前はどう思う?」
突然話を振られ言葉に詰まる。
呪いというワードを聞いて、五条君に相談すべきか考えていた。
亡くなった友人達は高校時代の因縁で結ばれてたのだ。
全員が仲良しという訳ではなかったが、関係は皆良好だっただけにショックも大きい。
「分からない」
「絶対に呪いだよ」
「私もそう思う」
不安と絶望に飲み込まれそうな2人の雰囲気に反して、エントランスは眩しいくらいに明るい。
自動ドアの向こうには夜の闇が見える。
そのギャップが妙に不気味だ。
「そろそろバスの時間だよ」
そう言って葬儀場を出る。
もし呪いだとしたら、私が無事なのは夏油君がくれた指輪のお陰かもしれない。
特級術師の術式に勝てる呪いなどそうそう無いだろう。
しかし、友人達が連続して死んでゆく不気味な理由が分からないまま指輪を手放したら私はどうなるのか…
他人事ではないが五条君からの連絡はまだない。
しかし五条君とは定期的に連絡をとっている。
話すべきか否か…
「私、田舎のお爺ちゃんに相談してみる…
お爺ちゃんの甥っ子が山伏やってるんだ
山岳信仰のある地域だから、お祓いとか出来る人紹介してくれるかもしれない」
「ほんと?聞いてみてよ」
「田舎って何処?
地方じゃすぐには行けないよ」
友人の提案に不安を感じて質問を投げる。
せめて硝子には話すべきか…