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シュガーヒル

第4章 バレンタイン



そう言うとヤマザキは私の皿にエビチリを取り分けてくれた。
いつもは自分が夫の誠一に料理を取り分けていた。

こんな風に優しくされると本当に嬉しくなったのを覚えている。
ヤマザキは本当に優しかったのだ。

「エビチリの味はどう?」
「ええ、美味しいわ。定番の美味しさね…」

「それは、良かったよ…」

ヤマザキは紹興酒を飲みながら私に微笑みながらそう話した。
この時の中華料理で印象深かった料理があった。

それは、グオパー(中華おこげ)と言う料理だ。

どの様に作るのかは分からなかったが、おこげご飯に野菜やしいたけを炒めたあんかけが乗っていて、テーブルに運ばれてきた時にとジュワーっと音がして面白かった。

そんな沢山の料理を食べながら私たちはお喋りをした。

「美都、今度一緒に六本木のクラブに行ってみないか?」
「え?クラブ?私、クラブなんて行ったことないわ…」

「行けば愉しいよ…音楽に合わせて踊ればいい…」
「私、踊った事なんてないから分からない…」

「僕が教えるから大丈夫さ…是非、行こうよ…」

ヤマザキは私を六本木のクラブへと誘った。
私はその時少し悩んだ。

そんな、派手な煌びやかさを感じる所に行ったことがなかったからだ。
私にとってクラブは未知の世界だった。

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