第10章 エピローグ
洋服を買って貰ったこと、スタージュエリーでピアスを買って貰ったこと、ディファニーでネックレスを買って貰ったこと、シュガーヒルで遊んだこと、全てが私の愉しかった思い出だ。
ネックレスは、暫く身に着けていたのだが、ネックレスの鍵部分が壊れてしまった。
ティファニーに持ってゆけば無料で直してくれると思うが、銀座の三越まで行く気になれなかった。
なので、ネックレスは大事に箱に仕舞ってドレッサーの奥深くに保管してある。
ピアスは、毎日磨いて見に着けている。
そのピアスを見ても、ネックレスを見ても誠一は何も言わなかった。
興味がなかったのだろう。
誠一とは相変わらずセックスレスが続いている。
このまま、私はまた、女として終わってしまうのだろうか。
そんな事を時々考える。
ヤマザキがとても恋しく感じた時もあった。
そんな時は、ヤマザキの写真をそっと見てみる。
写真だけは削除しなかったのだ。
私は、ヤマザキに未練があるのだろうか。
それは、自分でも分からない。
それに、ヤマザキはもう新しい彼女と結婚したかも知れなかった。
それを思うと、ちょっと切なくもなるが、彼の幸せを心から祈っている。
私は、この先、ヤマザキのことを忘れる事はないだろう。
愉しかった思い出を胸に、これから先も生きてゆく。
彼には、ありがとう。
そう、伝えたいと思う。
(おわり)
※続編は「青い果実」になります。