第4章 バレンタイン
六本木と言えば日本人だけでなく外国人も多いだろうと想像できた。
ちょっと、怖さを感じていたのだ。
そんな気持ちを察してくれたのだろうか。
ヤマザキはこう言ってくれたのだ。
「僕がいるから大丈夫だよ。六本木は怖くないしとても愉しい所だよ…」
その言葉を聞いて私はクラブに行きたいと思ったのだ。
「是非、連れて行って…」
「もちろんだよ…人生は愉しいものだよ…愉しまなくちゃ損だよ」
その時の私には愉しみなど全くなかった様に思う。
感謝も何もされず、毎日家政婦の様に家事をこなしていた。
家政婦ならお給料が支払われるが、私にはそのお給料さえもなかったのだ。
「今日はどうだった?楽しめたかな?」
ヤマザキが私の事を気遣ってそう話しかけてくれる。
「ええ、今日は愉しかったわ…」
「喜んで貰えて良かったよ…僕も嬉しいな…」
「本当に、洋服やピアスをありがとう…」
「いや、お礼何て必要ないよ。僕は美都が綺麗になるのを見るのが嬉しいんだ」
本当にヤマザキは私が美しくなるのを見るのが喜びの様だった。
こんな風に考える男性もいるのだと、その時感じたものだ。
自分は愛されている。
そう、感じたのは言うまでもなかった。
私たちは中華料理を愉しく食べ沢山お喋りをした。