第23章 本音
「あ、のさ……私はもう大丈夫だから、出て行ってくんねえかな?」
ぽつりと吐き出した言葉に、誰も聞く耳は持たなかった。
それを不思議に思ったのか、不安そうな顔が私達を見渡す。
「夏油、悪いがオマエが倒れている間に身体を見させてもらった」
「え……うそ、だろ……?」
「本当だ」
絶望。
まさにその言葉が当てはまるほど、彼女の顔面は蒼白に変わっていく。
そして先ほどと同じように、体を小さく丸め毛布を頭から被りガタガタと震えている。
「ち、違う……。これはさ昨日の任務で、ちょっと派手に怪我しただけで……」
「嘘をつくな。そうやって嘘をついて自分を追い詰めるんじゃない」
「嘘じゃないし。……嘘じゃないもん。心配、かけたことは謝まる。迷惑かけたことも……。でもそれは、私が全部弱いから仕方のないことで……だから違う。みんなが思ってるようなことじゃない」
「みんなが思ってるようなことってなに?ちゃんと僕たちの顔を見て説明して。やましいことじゃないならちゃんと言えるでしょ」
「…………」
「言えないことなの?どういった風に怪我をしたのかとか、言えないの?」
「………言え、る」
「じゃあ、毛布から出てきて。じゃないと誰も納得しないよ」
まるで尋問だ。
二人のやり取りを私たちは黙って見守る。
こんなこと思うのは場違いで失礼な事かもしれないけど。
これをきっかけに二人が素直になってくれればいいなと思った。