第23章 本音
「誰?」
五条先生の低い声が医務室内に響く。
五条先生だけじゃない。
真希さんも硝子さんも、その目は鋭い。
「茂木って補助監督。その人の車に乗っては任務に行った」
「茂木って昨日話してた茂木で間違いないか」
「はい」
すると五条先生はスマホを取り出し誰かに電話を掛けた。
相手はすぐに伊地知さんだと分かる。
「伊地知?悪いけど、今日茂木って補助監督が出勤してるかどうか教えてくんない?……午後から出勤ね。わかった。そいつ出勤してきたら迷わず拘束して。理由はあとで説明する」
電話を切った五条先生は深いため息を吐いた。
先生からはギラギラとした殺意が解き放たれている。
目隠しをしているのに、今なら目線だけで特級呪霊も人もなにもかも殺せそうな雰囲気。
それ程までに先生の今のオーラは怖い。
「とりあえず、夏油が起きたらまた連絡するから今は……」
「!!」
硝子さんの言葉を遮り、私はの側に寄った。
ゆっくりと瞼が開かれるのを私は見逃しはしなかった。
「の、ばら……?」
ぼんやりするのか、何度も瞬きを繰り返し目に映る私の名前を呼ぶ。