第23章 本音
医務室の扉を開けば。
そこには誰もいなかった。
絶望という文字が頭の中に浮かぶ。
「スマホ今あるか?」
「部屋に、あります」
「私もだ……。部屋に戻ってスマホ取ってくるから、野薔薇はこいつの隣にいてやってくれ」
ベッドにを優しく寝かせ、真希さんは医務室を後にした。
気を失っているの頬が少し赤くなっているのに気が付いた。
正直、怖い。
大切な友達が目の前から消える恐怖ってこんなんなんだ。
沙織ちゃんと別れた時とは違う寂しさと悲しさ。
こみあげて零れた液体は真っ白な彼女の頬を濡らす。
早く真希さん戻ってきて。
こんな静寂な中で一人で待ちたくない。
嫌な事ばかりが膨らんでしまう。
もしこのまま目を覚まさなかったらって思うと不安に押しつぶされて私まで死んでしまいそうだ。
布団からはみ出すの冷たい手をぎゅっと握り、私の熱を彼女に分け与える。
せめて、せめて温もりを取り戻してほしくて。