第23章 本音
「、ちょっと入るわよ‼」
返事なんて待つ余裕はなかった。
勢いよく浴室の扉を開けて、そして彼女の身体を見て言葉を失った。
「あんた、それ……」
彼女の身体は、痛々しい傷でいっぱいだった。
両腕の怪我は血は止まっている様だけど、火傷のあとが見える。
いや、それよりも、そんなことよりも。
身体のあちこちにある鬱血痕や赤く腫れている肌の方が、怪我なんかよりも痛々しく見える。
「見るな!!……お願いだから、見ないで……」
悲痛な彼女の叫びがその行為を物語る。
背中を丸め両腕で体を抱きしめてその場にしゃがみこむは震えていた。
息を呑んでぐっと唇を噛む。
見てられない、あんたのそんな姿。
「硝子さんに……」
「やめて!!!!」
怪我もして傷つけられているんだから早く硝子さんのところに行って治療してもらわないといけない。
そう思ったのに、彼女はそれを拒んだ。
彼女の顔は青白く恐怖におびえているようにも見えて。
「なんでもない」と繰り返すけど、なんでもないわけないじゃん。
そんな子供でも分かるような嘘で私を騙せると思ったの。
それとも見ないふりしてほしいっていうお願い?
悪いけど、そこまで優しい性格をした人間じゃないの。