第23章 本音
治療を終え、私たちは自分たちの部屋に戻る。
一人になって考える時間があるからなのか、私の脳内は一色に染まった。
考えるのは心配ごとばかり。
呪具を持って行ったけど、足怪我しているし呪力ないし。
どういった任務か聞いとけばよかった。
死んで帰ってくるなんてことになったら、私は茂木って奴を呪い殺してしまうかもしれない。
怖くて仕方なくて、私は真希さんの部屋にお邪魔した。
寝ているかなと思ったけど、起きていたみたい。
良かった。
「どうした野薔薇。まだと仲直りしてねえのか」
開口一番、真希さんはそう言った。
そうか、真希さん私達が仲直りしたこと知らないんだ。
「仲直りしましたよ。謝ってはいないけど」
「なんだそりゃ。まぁ、仲直りできたならいいじゃねえか」
「そう、なんですけど……」
真希さんに促され部屋の中に入り、座椅子に腰を掛ける。
唇を尖らせる私の前に温かいココアの入ったマグカップが置かれる。
湯気立つカップを手に取り、何度か息を吹きかけ口をつける。
「前にアイツの前にもココア出したんだよ。そしたらあいつさ"なんの冗談?"とか抜かしやがって。先輩の優しさをなんだって思ってんだよって話だよな」
「それはあれじゃないですか。真希さんがをいじめるから」
「いじめてねえ。可愛がってるだけ」
「真希さんって猫とか飼ったらかまいすぎてすぐに死なせそう」
「言うようになったじゃねえか、野薔薇!!」
にやりと笑った真希先輩は私の上にまたがり脇をくすぐった。
声を出して笑えば、更にくすぐって来て。
解放されたのは、数分後のこと。
呼吸困難に陥った私は肩で息をくり返す。
私の見下ろす真希さんの顔は逆光でよく見えないけど、笑ってるのはなんとなくわかった。