第23章 本音
地獄だった時間が終わり、私は茂木の車に乗り込んだ。
中から垂れるあいつらの液体が気持ち悪いけど、あんなところでお風呂になんて入りたくなかった。
早く帰りたい。
帰って寝たい。
帰って虎杖や伏黒、野薔薇の顔が見たい。
そしてできるなら、五条悟の顔も。
ぼうっと流れる景色を見つめる。
窓に映る私の顔は人に見せられるような顔じゃなかった。
ひっでえ顔。
野薔薇たちには見られたくねえな。
また心配させちゃう。
ぼんやりとしていたらいつの間にか高専に着いていた。
どこもかしこも痛すぎて車を降りるのもやっとだ。
車のドアを閉めて、寮へ戻ろうとしたら茂木が私の名前を呼んだ。
なんだよ。
「そのピアス、前付けてなかったけど誰かから貰ったのか?」
ピアス……?
ああ、これ。
私は右耳に付いているピアスに触れた。
五条悟から貰った誕生日プレゼントはひんやりと冷たくて気持ちが良かった。
「……そうだけど」
「誰から貰った?」
「知ってどうすんの?」
会話が億劫だ。
誰からでもいいだろ。
オマエには関係のないことだ。
「五条さん、じゃないよな」
「だから、知ってどうすんだよ」
「外してほしい。ムカつく」
「……彼氏面すんなよ」
大きなため息を吐いたと同時に腕を引かれ、茂木に抱きしめられる。
先ほどとは打って変わって、抱きしめる腕の力は割れ物を扱うように優しい。
「好きだよ、。俺と付き合ってほしい」
突然の告白。
だけど、私はなんにも思わなかった。
虎杖に告白された時はあんなにドキドキして嬉しかったのに。
今は真逆だ。
嬉しくもなんともない。