第23章 本音
だけど、今日は違和感を覚えた。
何時まで経っても扉を開ける気配がない。
静かにゆっくりと顔をあげると同時に、扉が開かれた。
外からではなく、中から。
「やっと来た。おせーよ」
処刑台だと思っていた場所はどうやら、地獄だったみたいだ。
部屋の中には、茂木と同じ年齢くらいの男が4人いた。
どこかで見たことがある顔ぶれ。
……そうだ、こいつらは補助監督だ。
そいつらはニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ、私を値踏みするように見ている。
その顔が、目が、口が、全部が気持ち悪くて。
自分が怪我をしているのも忘れて走り出すが、足の痛みが私のバランスを崩させた。
床に倒れ、それでもなんとか逃げようと這いずるが無駄な抵抗もいいところだ。
茂木が私の腕を取り、叫ぼうとした私の口の中に布を押し込んだ。
いくら叫んでも私の声は布に吸い込まれ、誰にも届くことはない。
ズルズルと引きずられるように部屋の中に放り込まれた。
「なに抵抗してんの?逃げたらどうなるか言ってあるよな?」
抵抗するだろ、逃げるだろ。
こんなの聞いてない。
口の中から布が抜かれ、急に入り込む空気に大きくむせてしまった。
涙目で茂木を見れば、私を見下ろしてにやりと笑っている。
「の話しをしたら来ちゃった」
「………なんで、話……」
「俺とが最近ずっと一緒にいるのが気になったらしくて。セフレって言ったら、こうなったんだよ」
「…………」
腹の奥底が重くなった。
緊張と不安と恐怖で、私はその場から動くことも立つこともできない。