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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第22章 黒閃







誰に対して謝罪をしているのかなんてすぐに分かった。
ずっとこいつは「津美紀」と女の名前を言っていたから。
津美紀って伏黒の姉ちゃんだろ。
寝たきりだっていう。
そんな姉ちゃんに何度も謝る伏黒の姿は痛々しい。

「……伏黒、大丈夫か。オマエ……」
「この八十八橋の呪いも重複してただけで、津美紀が寝たきりの原因になった呪いは解けてないだろうな。あとは指のことを虎杖に何て……」

頭で考えていることがそのまま口に出ている。
相当疲れている証拠だ。
暫くじっと見ていたら、規則正しい寝息が聞こえてきた。
完璧に寝たわ、こいつ。
宿儺の指持ったまま。

私は伏黒から宿儺の指を取り上げる。
砂利を枕にしていたら、怪我した頭にばい菌が入ってしまう。
私は静かに伏黒の頭を持ち上げ、私の太腿へと乗せた。

伏せられた長い睫毛が若干涙で濡れているのは気のせいだろうか。
うん、きっと気のせいだろう。

「大丈夫だよ、オマエの姉ちゃんは絶対起きるからさ」

髪質の固い頭を撫でながら、小さな声でそう言った。
生きているなら、起きるよ。
呪われているなら、祓えばいいよ。
大丈夫。
人間、死なない限りまた目を覚ますから。

本当は虎杖たちの所に行って加勢してやりたいけど、悪いね。
私もう呪力が空っぽに近い。
こんなんで行っても足手纏いだ。
だから、二人とも。
必ず戻って来いよ。

そんなことを思いながら、私は彼らの無事を祈る事しかできなかった。




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