第22章 黒閃
「やめだ」
俺は両手を上げた。
ここで、逃げるのは、死ぬのは、死んで勝つのは、やめる。
イメージしろ。
影の奥行きを全て吐き出すイメージ。
具体的なアウトラインは後回しだ。
呪力を練った側から押し出していけ。
自由に!!
「やってやるよ‼」
限界を超えた未来の自分を。
イメージしろ!!
「領域展開"嵌合暗翳庭"」
ザブンと、地面一帯に影が流れる。
呪力のコントロールもままならないまま、影は冬の海のように荒々しく波立つ。
不完全。
不細工もいいところだ。
だが、今はコレでいい。
「やればできんじゃねえかっ!!」
嬉しそうな夏油の声が聞こえた。
立ってるのもやっとの奴が、鍵を取り出し俺のサポートへと回る。
これ以上呪力を放出したらオマエがやべえだろ、手を出すな。
そう言えたらいいが、俺も俺のことでいっぱいいっぱいで。
ただ、自由に俺の思うままに影を作り続ける。
蝦蟇が特級の足を掴み特級がそれに気を取られているうちに裏回し蹴りで攻撃する。
間合いを取る俺に視線を向ければ背後から夏油の裏拳が飛んでくる。