第22章 黒閃
「ここね」
川は思ったよりすぐに見つけられた。
4人横に並びお互いに顔を見合わせる。
川や境界を跨ぐ彼岸へ渡る行為は、呪術的に大きな意味を持つ。
それはつまり、彼岸と此岸の線引きが曖昧になるという意味でもある。
こちら側からあちら側へ。
私たちは同時に川を跨ぎ渡った。
足に何かチリッとした電気のようなものが走った瞬間。
呪霊の結界内が表れた。
ポケモンのディグダみてえな奴が根を張ってこっちを見ている。
「出たな」
「祓い甲斐がありそうね」
巨大だけど、そこまで戦闘力は強くなさそうだ。
その時、私達の背後に"何か"が現れた。
「なんだぁ?先客かぁ?」
丸い胴体から手足が直に生えたカエルのような体型で青肌、顔の下に大きな2つ目の口がある呪霊がそう言った。
上の顔に表情は見られず眼球の無い目から常に血涙のようなものを垂れ流している。
喋れる呪霊……特級か。
「伏黒、コイツ"別件"だよな」
「……あぁ」
「じゃあ、オマエらはそっち集中しろ。コイツは俺が祓う」
「私も加勢してやるよ」
「なんだぁ?遊んでくれるのかぁ?」
なんだなんだってうるせえな。
オマエはテツ&トモかよ。
私と虎杖はこの気持ち悪い特級を、伏黒と野薔薇はディグダを相手に戦うことになった。