第22章 黒閃

「ここまで気付かないとはマジでテンパっているのね」
「別に何でも話してくれとは言わねぇけどさ」

ため息を吐きながら、虎杖は頭を軽く掻いた。
そして、一拍置いた後。

「せめて頼れよ。友達だろ」

その言葉にハッとした。
禪院真希と新田明に似たようなことを言われた。

【お前と一緒に悩んで苦しんで、助けてやりたいって思ってる】
【夏油さんが大事にしたいって思う人がいる様に、夏油さんを大事にしたいって思っている人たちもたくさんいるっス】

その意味を、今、なんとなく、わかった気がした。

友達だから助けたい。
友達だから巻き込みたくない。
大事だから、大切だから。

私が思っていることを、こいつらも思っていた。
野薔薇が私に怒っていたのは、私がそのことに気づいていなかったから。
なんだ。
結局、全部、私が悪かったのか。
自嘲気味に小さく笑みを零した。

この任務が終わったら、ちゃんと野薔薇に謝ろう。
そう心に誓って。

そんな事を考えながら、私は伏黒の声に耳を傾ける。
伏黒も虎杖の言葉に何かを思ったのだろう。
自分の事を何も話さなかった伏黒がはじめてその口で自分の事を話した。