第22章 黒閃
その為にも今は、藤沼姉にどんな方法で肝試しをしたかを聞き出さなければいけない。
それが今回の鍵となるはずだから。
「あれ、貴女は……」
「良かった、追いついた」
軽く息を弾ませながら、私は藤沼姉弟に追いついた。
「あのさ、もうちょっと詳しい話聞きたいから家まで送るわ」
「え……?」
驚いた顔をする2人。
何かあると思わないようにしたいけれど、いい切り口が見つからなかった。
「実はさ、このあと八十八橋で肝試しするんだけど、私じゃんけんで負けたんだよね」
「は、はあ……」
「で、肝試しなんてやったことないから藤沼姉に当時どうやって肝試ししたかを聞こうと思ってさ」
歩きながら私は彼女たちがどうやって肝試しをしたのかを聞き出す。
「どうやって……」
困惑しながらも藤沼姉は当時の事を話してくれた。
肝試しは橋の下でやったと言う。
上から降りるのではなく、下から。
八十八橋に行ったのは夜。
そして峡谷の下に川があってそれを跨いだと言う。
「その後は怖くなって、帰りました」
「そっか。わかった。ありがとう。はあ~、なんで負けたんだろ。私さ、こう見えてめちゃくちゃ怖がりでさお化けとか幽霊とかホラー映画とかすごい苦手なんだよね」
「え、その強気な性格で?」
思ったことがそのまま口に出てしまった藤沼リーゼントは、しまったと言わんばかりに口を抑えた。
私は苦笑いをしながら「でもバイト代弾むって言うからさ」と嘘を言った。
だけど、手順はわかった。
上から降りて下まで行った虎杖だったが何も起きなかった。
という事は、呪霊が結界内にいる可能性がある。
そうなったら手順は大事になってくる。