第22章 黒閃
少し離れた場所に歩き始める伏黒。
頭を冷やすためのかなんなのか。
「虎杖、野薔薇。伏黒の側にいてくれ」
「は?」
「あんたは?」
「私は、藤沼姉弟を家まで送る。何かあったら対処できるのは私だけだ」
「………あっそ。行ってらっしゃい」
「それと、伏黒に伝言。今すぐ姉貴の所に行け。……頼んだぞ」
何か言いたそうな野薔薇だったけど、結局何も言わなかった。
私は急いで藤沼姉弟の後を追う。
追いかけながら、私は頭の中で状況の整理を始める。
被呪者の数が渡された資料よりも多いとなると、この任務はあいつらじゃ手に余るだろう。
いくら伏黒が天才術師と言われていても2級術師。
この任務の危険度は更に上がると思われる。
そうなれば、動けるのはこの中では私一人。
出張に行っている五条悟は来週には戻ってくるだろう。
だが、あいつを待っている時間はない。
この呪霊は時間制限がある。
しかも襲ってくるタイプではなく、マーキングした人間の内側から術式が発動するタイプの呪霊なら、いくら側で守り続けても意味がない。
それでも伏黒には姉貴の元にいて欲しいと思った。
どんな未来が待ち受けていようと、側にいることといないことでは、後悔の仕方が違うはずだから。
伏黒の姉ちゃんも藤沼姉もその先輩らも。
全員を呪いから助けるためには、今すぐ祓うしか方法はない。