第22章 黒閃
私達の嘘を信じた藤沼姉はほっと息を吐き、安心したような顔つきになった。
先ほどまでの不安が全て取り除かれたと判断してもいいのだろうか。
「肝試しに行ったのは部活の先輩2人……。そうだ、伏黒君」
彼女は一緒に八十八橋へ行った人達を教えてくれた。
そして、伏黒の方を向いて。
「あの時、津美紀さんも一緒にいたよ」
衝撃なその人物に私も虎杖も野薔薇も目を大きくさせた。
津美紀って、伏黒の姉ちゃんだよな。
伏黒を見ると、なんでもないような、興味がないような表情をしていて。
「そうか。じゃあ、津美紀にも聞いてみるわ」
と言った。
随分と演技がうまいな。
不安にさせないためなんだろうけど。
藤沼姉弟は、用事が済んだのか家に帰ることに。
それを見送った後、私たちは伏黒に声をかける。
伏黒の表情は、不安と恐怖と焦りに満ちた顔をしていて。
「伏黒!!しっかりしろ!!まずは安否確認だろ!!」
虎杖が声をかけたことで我に返ったのか、はっとした顔をして、冷静さを取り戻す。
いや、取り戻した気でいるだけだ。
内心は、まだ穏やかじゃない。
「……大丈夫だ。悪ィ。少し外す」
何が大丈夫だ、だ。
全然そんなことないだろうが。
姉が、自分の姉が呪いで死ぬかもしれないってのに。