第22章 黒閃
この後はどう行動しようかと悩んでいると、伏黒を呼ぶ声が聞こえた。
声のする方を見ると、そこには昨日の中坊が自転車を漕いでこちらへとやってくる。
自転車の後ろには黒髪ショートボブの女の人も乗っている。
朝っぱらからデートか。
アオハルじゃん。
リーゼント野郎は伏黒を見つけると、安堵のため息を吐いた。
どうやら伏黒をずっと探していたようだった。
「八十八橋って言ってたから……!!本っ当良かった!!」
何がそんなに良かったのだろうか。
何か言い忘れていたことがあったのかな。
そんなことを思っていると、伏黒が女の人を見て「藤沼?」と口を開いた。
どうやら彼女は伏黒の同級生のようだった。
そしてリーゼント野郎の恋人ではなく、姉らしかった。
「藤沼リーゼント、姉ちゃんと全然似てねえな」
「……藤沼リーゼント?」
「なんかそんな芸人昔いたわよね」
「藤崎マーケット?」
「それだ!!」
話が脱線しそうになったところで伏黒が鋭く私達を睨む。
私は何も言ってないだろ。
虎杖と野薔薇が勝手に盛り上がっただけじゃん。
藤崎マーケットって虎杖が言った時は笑いそうになったけど。
これ以上ふざけるといよいよ伏黒がブチ切れるから、私たちは彼等がなぜ伏黒を探していたのか、その理由を聞いた。