第22章 黒閃
車に戻ると、3人は眠たそうな目を擦っていた。
車内を出て大きく伸びをする3人。
それを横目に見ながら私はさっき貰ったカフェオレで喉を潤しておにぎり2個を胃の中に入れた。
「残穢も気配もまるで感じられませんでした」
コンビニの前でご飯を食べながら昨日の成果を明に報告する伏黒。
あれだけ虎杖が身体を張って橋の上から飛び降りたと言うのに、何もなかったということはつまり。
「となるとハズレ。ふりだしっスね」
新田明が言うように、ここは違うのだろう。
「でも、これ以上は時間を掛けたくない」
「なんでよ」
カフェオレの最後の一滴を飲み干し、私はそう言った。
時間を掛けたくない理由は一つしかない。
「無駄に人を死なせたくないから、だろ?」
私が答えるより先に虎杖が口を開いた。
「有名な心霊スポットで、呪われている人はまだまだいるかもしれない。しかも今ん所致死率100%だからな」
「確かにね……」
私の考えを読み取る能力でもあるのかと言いたくなるほど、虎杖の言った言葉はまんま私が考えていたことだだった。
「ピコーン!は流行ってたのはバンジーっスよね。"飛び降りる"って行為が鍵なんじゃないっスか?」
ピコーンって口で言う人初めて見たかもしれない。
新田明の提案は既に実証済み。
そのことを言えば新田明はめちゃくちゃびっくりしていた。
ビニール紐でバンジーする人間は、世界中どこを探したって虎杖しかいないだろうな。
死んでいないどころか傷一つないところも加点されるだろう。