第22章 黒閃
次に目を覚ましたのは寝てから40分くらい経った頃。
頭はすっきりと冴えている。
やはり睡眠は大切なんだと改めて思い知った。
後部座席では3人共まだ寝ている。
伏黒を真ん中にして、その両肩に二人の頭が乗っている。
寝息を立てている3人のこの姿が、あまりにもおもしろくて見ていて気持ちが良くて。
思わずカメラで写真を撮った。
それを大事に保存して。
助手席から外を見ると、そこはコンビニの駐車場だった。
あのあとここに停めるために車を走らせていたらしい。
運転席に新田明の姿はない。
コンビニにいるのだろうと思い、私は静かに助手席から降りた。
案の定、コンビニに新田明の姿があった。
彼女は私を見ると満面の笑みで「調子はどうっスか」と聞いてきたから「だいぶ寝たんで、頭すっきりです」と答えた。
ふと彼女が持つ買い物かごの中を見ると、おにぎりやサンドイッチ、飲み物などがいくつか入ってた。
「朝ごはんっス。起きたらみんなで食べるといいっス」
「お金半分払います」
「いいっスいいっス。ここは私が買うっスから」
「でも……」
「こういう時は甘えておくもんスよ」
にこりと笑う彼女に押され、私は静かにお礼を言った。