第22章 黒閃
「コラ!!何だ君達は!!他校の生徒が入っちゃいかん!!」
「アンタこそ何よ‼」
「校務員さんだろ……。なんで強気なの?」
「誰彼構わず噛み付く癖やめろ」
野薔薇にツッコミんでいる間に新田明は校務員の爺さんに入校許可証を見せて事なきを得た。
私たちの事を事前に聞いていた爺さんは、先ほどの怒りはなくなったようで、普通に接してくれた。
「伏黒君か」
「……ども」
爺さんは伏黒を見つけると懐かしむように満面の笑みになった。
こいつ去年まで不良だったんだよな。
元不良とは言え話しかける爺さんの勇気すげえな。
普通は遠慮したりするもんだと思ったけど。
「この人はこの学校長いんスか」
「多分……。武田さんは正規の方なんで」
「じゃ後任せたっス!!」
「堂々と職務放棄しすぎだろ。アメリカじゃねえぞ、ここ」
結局、新田明はマジで車に戻って行った。
報告とかするために戻ったと思うから、完全なる職務放棄とは言えないけど、せめて調査が終わるまでは現場にいろよとは思った。
まぁ、別にいいけどさ。