第22章 黒閃
車を走らせていると後部座席から虎杖が声をかけてきた。
「俺、のああいう行動まじですげえと思う。迷いなく踏み込むんだもんな」
「躊躇して無駄に時間潰したくねえからな」
「のわりには、弱虫で臆病よね」
「あぁ?」
「喧嘩すんじゃねえよ、お前ら」
なにかあるとすぐに突っかかってきやがって。
なんだよ、ムカつく。
険悪な状態のまま私たちは次の目的地であるさいたま市立浦見東中学校へと赴いた。
唯一の手がかりを失った私達にとっては、この中学校だけが頼りの綱。
どうかせめていい情報が一つでも手に入ることを祈りながら、敷地内に入る。
するとすぐさま、第一生徒発見。
金髪やろうとオールバック野郎は授業をサボって煙草を吸っていた。
分かりやす……。
今時こんなわかりやすいやついるか?
……いるか。
「ブン殴って更生させましょ」
「なんで?」
「暴力でしか解決できないのかよ」
「……なに、やる気?」
「いい加減にしろお前ら」
パコンと頭をはたかれる。
女に手を挙げるとはいい度胸だな伏黒。
あとで覚えてろ。
野薔薇と睨み合っていると、突如として中坊どもが煙草の火を消し、90度に腰を曲げて頭を下げた。
「「おっ、お疲れ様です!!」」
見た目はアレだが、意外と礼儀の正しい子達なのだろうか。
「フッ。何よ。"理解"ってるじゃない……」
「オーラってやつは隠してもにじみ出るもんだからな」
野薔薇と虎杖は得意気な顔をしている。
にじみ出るオーラは「馬鹿」で間違いないだろうな。
隠しきれてねえし。