第22章 黒閃
暫くすると、車がブレーキをかけて止まるのを感じた。
ゆっくりと目を開くと、どうやら目的地に着いたらしい。
死んだ奴らの知人に話を聞こうと車を降りたのはいいが、私たちは言葉を失ってしまった。
そいつの家は葬式が行われていた。
「ここがその知人の家?」
「そう……なんスけど、これは……」
流石にこれは予想していなかった。
話しを聞こうにも死人にきけるはずもない。
だけど手がかりもなしに帰るわけにもいかない。
取るべき行動は一つ。
私は森下家へと足を運んだ。
「あ、おい……!!」
止める伏黒の声を無視して玄関を開ける。
知らない女が突然家に入ってきたのだから、森下の両親は驚いた様な顔をして私を見た。
その目は赤く腫れていてずっと泣き続けていたんだとわかる。
「あなたは……?」
「立花です。森下さんと私の兄が同級生でして。それで、今日兄は来れないから私が代わりに……」
立花、と言う名字は私が親戚の家に預けられていた時に使っていた偽名だ。
周りの目を気にする人たちだったから、仕方なくのこと。
「そう、なの……」
「どうぞ、上がってください」
両親と思われる彼らは、なんの疑いもせず私を中へ招き入れた。
兄から預かった言葉だけを伝えるという体で足を踏み入れ遺影を前にして、手を合わせる。