第21章 諦念
じっとを見ていると、じわりと彼女の瞳が潤う。
え、なんでいきなり泣いてんの。
責められて傷付いたの?
真希さん達は泣かせたパンダ先輩を責めているけど、違うでしょ。
だってパンダ先輩は間違ったこと言ってないんだから。
イライラする。
そうやって一人で抱えて泣くくらいなら、少しは頼ってよ。
また話が脱線するし。
募るイライラを私はなんとか我慢する。
話しを元に戻した後、一拍置いて漸くが本音の一部分を話し始めた。
「わ、かんないんだよ……。自分が今何を考えているか、なんて……。ぐちゃぐちゃで、考えがうまくまとまんない……」
おじやが入っていた器を見つめるは、背中を小さく丸めていて酷く脆弱に見える。
「」
そんな彼女の名前を私は呼んだ。
「例えばよ。が見た女性が五条悟と本当に付き合っていたら、あんたはどう思うの?」
俯いていた彼女はゆっくりと顔をあげる。
その表情は泣きだしそうな空模様のように曇っていた。
「……どう、思う?」
掠れた声。
揺れる瞳。
彼女の顔を見つめたまま。
「真剣に想像して。二人がセフレじゃなくてちゃんと付き合ってて、あんたの知らない場所で手を繋いだり腕を組んだり笑いあってたりしたら、あんたはどう思う?」
「……………い、や……かも、しれない……」
小さな、本当に小さな声だった。
他に物音がすれば掻き消されてしまうのではないかというほど。