第21章 諦念
しかし、いきなりパンダ先輩が立ち上がった。
急に大きな音がしたせいで、みんなの肩が跳ね上がる。
「恋愛ってホレたほうが負けとかいうじゃん。じゃあさ、恋愛で勝つには向こうが先にホレなければいけない。そうだろ?でもそれだと、自分がホレていない相手にホレられる事になるから、あまり嬉しくないよな!!」
突然、演説を始めるパンダ先輩。
「どうした急に」
「負けてもいいからホレてるやつにホレられたいって!!そう思いませんか⁉うふっふ~!!」
「だからどうした」
「諦めんなよ‼諦めたらそこで試合終了だって、安西先生も言ってただろうが!!」
「情緒が不安定すぎるだろ」
の的確なツッコミが飛び交うが、パンダ先輩はそれを無視して演説を続ける。
「諦めるつっても、どう諦めるんだ⁉その通りに進むのか?その後の考え方や選択は全部"諦めたからしょうがない"って決めて自分の本音から逆へ行くのか?そしたら全部忘れられるのか?跡形もなく。まるではじめからなかったかのように消えるのか?諦めるって、つまりはそういうことなのか?」
「諦めるとか……別に私は……」
「じゃあ今何を考えてんだ、お前。それを聞かせろ。ガキだからとか歳の差だとか、そんな言い訳を盾にして。それを言い訳にする理由はなんだ」
パンダ先輩とを交互に見て、尋問のようなその言葉に対して彼女がどう答えるのか。
私は黙って待っていた。