• テキストサイズ

【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第21章 諦念








洗面所を出ると、野薔薇はまた私の腕を取って部屋を出た。
向かった場所は食堂だった。
そこには禪院真希と狗巻棘とパンダがいて。
あの時の面子だと気づくのに時間はいらない。

「うっわ。ひっでえ顔」
「こりゃなんかあったな」

第一声、禪院真希がそう言ってパンダもの言葉に続いた。
一体私はどんな顔をしていると言うのだろうか。

「ツナマヨ」

狗巻棘が隣の椅子を引いて、ジェスチャーで座るように言ってきた。
テーブルの上には湯気立つおじやが置いてあった。

「とりあえず座って飯を食え」
「いらない。腹減ってない」
「減ってなくても食うんだよ。真希から連絡貰った棘が作ったやつなんだぞ」
「しゃけっ」

なんで作ってないパンダが偉そうに胸を張ってるんだ。
狗巻棘は得意気にピースしているけど、もっと主張しろオマエは。

私は軽く息を吐いて椅子に座った。
たまごと小ネギの入ったおじやからは鶏がらスープの匂いが漂ってきた。
そのせいか盛大に空気も読まず私の腹の虫は鳴いて、それを聞いた4人はニヤニヤと笑っている。

お腹はなったけど、気分的に食べる気分じゃない。
でもせっかく作ってくれたのなら食べなきゃ。

れんげを手にして一口だけ食べた。
身体に染みわたる優しい味に、一口、また一口と食べる手が止まらない。
冷えた身体と心が、生き返っていく。

気づいたらおじやはもうなかった。




/ 884ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp