• テキストサイズ

【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第3章 受胎







「はぁ……」
「どこ行くの?僕と勝負する?最近してなかったもんね」
「……いい。今日はなんか、疲れた。息抜きしてくる」

ベッドから立ち上がり私の肩を掴んでくる男の手を払いのけ、ハンカチで拭った。
後ろで何か文句を言う声が聞こえたけど、無視した。
つか早く部屋から出てけや。
心の中で悪態をついて、私は寮を出た。

久し振りに外に出た。
大きく伸びをすると骨の鳴る音がした。
息抜きと言ってもどこかに行くわけじゃない。
あまり買い物とか好きじゃないし。
適当に歩いて、校舎の中へと入る。
ここに入るのは初めてかもしれない。
いつも、寮の部屋か外で五条悟と戦ってるかのどれかだったから。

ぶらぶら歩いていると、とある教室で足を止めた。
その部屋にはグランドピアノが置いてあった。
音楽室、というにはグランドピアノしかないから違うと思うけど。
高専って表向きは宗教系の高校だとかあの男は抜かしてたけど、音楽の授業とかもあったりするんだろうか。

中へ入り、鍵盤蓋を開けた。
随分と長い間使われてないのか埃が溜まってる。
これだと音もダメかもしれないな、なんて思って鍵盤を叩くと、綺麗な音色が響いた。

「……調律されてる」

誰も使ってないのに調律だけはしてあるって、どっかの小学生探偵の事件かよ。
私は椅子に座り、指を滑らせるように音を鳴らした。
その音色に耳を傾ける。
久し振りにピアノ弾くな。
指、覚えてるといいんだけど。


/ 500ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp