第21章 諦念
授業が全部終わって。
私は目立たない服に着替えて高専を出た。
今日は私は任務に行かないと言う連絡はしてあるから、外に車を待たせているわけはないとわかっている。
それでも万が一の場合がある。
だから、そっと誰にも気づかれないように静かに外に出て私は五条悟のセーフハウスへと急いだ。
走って走って。
息が切れて足がもつれて転んだけど、そんなのお構いなしに。
早く五条悟の所に行って、今の現状を話して助けてもらいたかった。
見放されてもいい、軽蔑されてもいい。
今はこの地獄から抜け出したい。
セーフハウスの前まで来て、乱れた息を整える。
五条悟の部屋を下から見上げて確認した。
ここに来る前に五条悟にラインを送っていた。
"話したいことがある。セーフハウスに行く"とだけ。
既読はつかなかった。
だけど、部屋には電気が点いているから部屋にはいるんだ。
私はエントランスに入って五条悟の部屋へと足早に向かった。
部屋の前に着いてドアノブに手を掛ける。
鍵はかかっていなかった。
私が来るとわかっていたから開けといてくれたのかも。
毎回ピッキングされても困ると言う事情かもしれないが。
ドアを開けて私は中に入りリビングに足を踏み入れた。
「五条さ……とる」
言葉尻が小さくなった。
五条悟の名前をちゃんと言えなかった。
信じられない光景が、信じたくない光景が広がっていて。
私の目の前で、ソファの上で。
五条悟と知らない女が、抱き合ってセックスをしていた。
五条悟と知らない女の驚いた目が私を映す。