第21章 諦念
その日。
私は久々の単独任務をこなしていた。
呪霊は3級や4級ばかりの低級。
すぐに終わる任務だが、私は自分の術式を極めるためにあえて格下の呪霊を祓う任務を伊地知さんや他の窓の方に相談し組み込んでもらっていた。
「"解放"」
呪霊に刺さった鍵を回せば、呪霊は蒸発するかのように煙となって消えた。
額から零れる汗を拭って、息を吐く。
なんとか形にはなってはいるけど、呪力の消費が激しい。
のは、私がまだちゃんとコントロールできていない証拠。
それに呪霊には使えても未だに空気をコントロールできていない。
「はぁー」
「お疲れ様です」
帳の外に出れば補助監督である茂木さんが頭を下げた。
生真面目なこの人は、帳の中に入る時も出るときも必ずこうして頭を下げてくれる。
それが印象的で、すぐに名前を覚える事が出来た。
「今日の成果はどうでしたか」
「できるものとできないものの差が激しくて……。あと、呪力の消費も……」
「でも、以前よりは安定しているのでは」
「まぁ……」
後部座席に乗り込み、茂木さんと会話を交わす。
毎回、今日の成果を聞いては励ましてくれたりアドバイスをくれたりと精神面の方までサポートしてくれる。
真面目な人だよな、ホント。
誰かさんには見習ってほしいくらいだ。