第21章 諦念
ご飯を食べたあと、私は高専へと戻り、五条悟は本家へと戻った。
高専まで送ると言った五条悟だったが、これ以上二人でいたら私の心臓がもたないため丁重にお断りした。
別れ際、五条悟は私の頭を撫でそして付けたばかりのピアスに触れた。
「失くしたら、マジビンタね」
「失くすわけないだろ」
そう言って。
私たちはお互いの家へと戻ったのだった。
寮へと戻り、私はベッドに横になる。
お風呂はもう少ししてからでいいや。
大きく息を吸って吐いた。
自然と手は右耳にあるソレに触れる。
開けたばかりだから触ると違和感が走った。
だけどそれ以上に。
五条悟がプレゼントしてくれたという事実の方が大きく上回り、くすぐったさが全身に廻る。
暴れだした衝動。
だけど今は夜だから暴れることができない。
このもどかしさ。
言葉では表現ができなくて。
安易に言葉で表現しようとすること事態が野暮な感情。
無理に言語化して形を固定しない方がいい感情。
まさにそんな感情がたくさん渦を巻いている。
これが9月中旬の出来事。
それから一週間後。
私は、五条悟に振られた。