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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第21章 諦念








「誕プレのお礼に、ご飯作るよ」
「……どうしたの。いつものらしくないじゃん」
「少しだけ素直になろうと思っただけだし。らしくないなら、このまま帰る」
「ちょ、ちょっと待って!!」

踵を返して部屋を出ようとしたら、五条悟は慌てたように私の腕を掴んだ。
切羽詰まったような男の声に振り返れば、男はハッとした顔をした。
ぱっと離した手が宙をさまよう。

「あ……っと。……一緒に食べよう。僕、今日はハンバーグの気分!!」

何かをごまかすように、無理やりにいつものテンションへと切り替える五条悟。

え、なに、その反応……。
私に帰ってほしくなかったの。
だからそんなに慌てたの。
いや、違う。
そんなわけないでしょ。
ただ、急に帰るってなったから、びっくりしてああいうふうになっただけ。

でも、もし。
もし、もう少しだけ私と一緒にいたいと思っての行動だとしたら。
あの五条悟が、私の行動一つに慌てたってことで。
振り回してるつもりはないけど、でもそれって、そう言う事だったりしたりするわけじゃん。

期待、って、そういうこと。
これは、期待、する。
期待しちゃう。
でも、するな。
自分の都合のいいように、解釈をするな。
たまたま。
たまたまだ、きっと。
あの五条悟が誰かに執着するはずがないって、アイツらも言ってたじゃん。
しかもこんなガキに。

「帰んねえよ。お礼するし。それに、殴ったお詫びもしたいし」

でも、今だけは。
今この時間だけは、五条悟の時間を独り占めしたっていいよな。
それくらいの権利は許されたって。

五条悟のリクエストに応えてハンバーグを作った。
勿論ソースも。
一緒に食べながら術式の話しをした。
進歩はどうかとか順調なのか、とか。
順調とは言い難いけど、でもできなわけじゃない。と言えば、五条悟は口元を大きく歪め「そっか」と笑う。
五条悟の笑顔を見るだけで、気分が上々。
単純が過ぎて笑えて来る。




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