第21章 諦念
「なにエロい声出してんの」
「出してない!!ちょっとびっくりしただけだし……。つか、なんで耳たぶ……」
「厚さを見てんだよ」
「厚さ……?」
何度も触って、そのせいか少し麻痺してきた気がする。
五条悟は「うん、大丈夫そう」と言ってその手を離した。
耳たぶが、熱い。
ジンジンする。
まだ、五条悟の指の熱と肌の感触が残ってて、犯されていないのに犯された気分になる。
「これ、僕からの誕生日プレゼント」
そう言って五条悟は、小さな箱を私の前に出してきた。
「開けてもいい?」「もちろん」「じゃあ、開ける」なんてやり取りをしながら、私は綺麗に包装されたそれを丁寧に外していく。
真っ白い箱がテーブルの上に鎮座し、ゆっくりと箱の蓋を開けた。
「これ……」
そこには青い輝きを持ったトンボ玉がピアスとしてこっちを見ていた。
光の当たり具合によってキラキラと輝いていて、まるで海の中にいるような。
「特注だよ」
「特注……」
「そ。カイヤナイトとラピスラズリとクリスタルをいい感じに混合してもらった」
「すごい、綺麗……」
スタッドピアスになっているから、そう簡単には落ちないだろう。
ずっとそれを眺めていると、五条悟は私の手からピアスを取った。
そして再び、私の右耳を触って。
「ピアスの穴、開けていい?」
と、まっすぐに私の目を見て言った。
ピアスと似たような色の瞳に見つめられて、首を振ることができようか、いや、できない。