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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第21章 諦念







「何してんの?」
「……ピッキング?」
「普通にインターホン鳴らしなよ」
「そう、なんだけどさ……」

腕を引かれて部屋の中に入る。
変わらずこの部屋はさっぱりとしている。
というか、すごく久しぶりにこの部屋に来た。
このリビングで、あの寝室で、私は何度も五条悟に抱かれたのか。

瞬間。
プシューと私の頭がショートした。
ゆだっている、脳が完璧に。
変なことを思い出したし、変に意識してしまった。
今までそんなことなかったのに。

だから嫌だった。
自覚してしまうのが。
全ての物事が、"そういう風"に見えてしまうから。

「」

五条悟はソファに腰かけ、私の名を呼んだ。
隣に座れと言うジェスチャーをしているから、それに従ってゆっくりと五条悟の隣に座る。
あと数センチで体が密着しそうなほど近い距離。
たったこの距離ですら、男の体温を感じてしまう。
もっとすごいことやったじゃないか、私。
何を照れているんだよ。
照れるよ、だって、そういう気持ちを抱いてこの部屋に来たのは初めてなんだから。

自問自答しながら。
ぐるぐると脳内の馬が暴れまわっている。
このじゃじゃ馬娘め。
少しは大人しくできないの。

「ひぅっ……」

変な声が口から出た。
考え事しまくってたせいで、五条悟の手が近づいてきているのに気が付かなかった。
男の手は私の右の耳たぶへと伸ばされ、壊れ物を扱うように優しく触っていて、その触り方が、その、なんというか、ねえ……。




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