第21章 諦念
――夏油side――
イギリスから日本に帰国し、高専に戻った私はお土産の事を思い出した。
すっかりそのことを忘れていた事を野薔薇に伝えると、めちゃくちゃ責められたのはつい昨日の事である。
お詫びとしてハーゲンダッツ5個を献上したのは、つい数時間前の事。
そして今現在。
私はあのセーフハウスへと向かっていた。
箱根旅行の時、五条悟の一方的なお誘いの日が今日だからだ。
というか、目が覚めたら五条悟が私を抱きしめて寝ていてびっくりしすぎて殴ってしまったんだけど、起こってないよな。
その場でちゃんと謝ったけど、あいつ怒るとすげえ怖いからあんまり怒らせたくない。
五条悟に会ったらもう一回謝ろう。
何度も行っている五条悟のセーフハウスだけど、少し緊張する。
ほぼあいつが飛んでいるためちゃんとエントランスから入るのは、寝首を掻こうとしたあの日以来。
エントランスに入り、エレベータに乗り込み、あいつの部屋の前に着く。
インターホンを鳴らすのもなんか気恥ずかしくて、ピッキングをしようとした。
が、それをやる前に扉が開いた。
しゃがみ込む私の目と見下ろす五条悟の目がぶつかる。