第20章 幸福
「七海の祖父がデンマーク人だって言うから、デンマークの事聞いてたんだよ。でも、七海自身は日本育ちだって言うから、何も聞けなかったけど」
「なんでデンマークのこと知りたいの?」
「アンデルセンの故郷なんだよ。マッチ売りの少女とかみにくいアヒルの子とか、有名な童話を書いた人なんだけど、あの人のゆかりのある場所があるから行ってみたいなって話をしてただけ」
まじで僕に全然関係のない話だった。
「シェイクスピアとかそう言った芸術っていうの、結構好きだから、いつか海外行って観光したいんだよね。シャーロック・ホームズの聖地巡礼もしたいし」
「ロンドンのベイカー街ですね。あそこは私も一度行ってみたいと思っていました」
盛り上がる会話。
楽しそうな二人。
その様子を見て、僕は気づいたら口を開いていた。
「じゃあ、行く?イギリスに」
「「は?」」
綺麗に二人の声が重なった。