第20章 幸福
高専内をぶらつきながら、頭に浮かぶ術師の名前をひたすら上げていく。
学長、冥冥さん、日下部、七海、歌姫、九十九さん。
戦力になりそうなのは九十九さんだけど、あの人はなぁ。
頼んでも引き受けてくれるか分からないから当てにはできない。
消去法だと七海が妥当か。
事情を話せば引き受けてくれそうだし。
ダメ元で九十九さんに連絡してみるか。
学生には頼めない案件だ。
とりあえず先に七海に連絡して……。
頭の中で考えながら廊下を歩いていると、探していた人物がタイミングよくいた。
と何か話しているみたいだが、二人ともどこか楽しそうに見えるのは気のせい?
「なーなみっ」
「……何ですか、五条さん」
明らかに不機嫌になる七海。
と態度違いすぎない?
温度差で僕風邪引いちゃうよ。
「随分と楽しそうだけど、と何話してたの?」
「なんでもいいでしょう。あなたには関係のないことですよ」
「えー、そんな事言われたらすごい気になんじゃん」
できるだけ声は明るくしていたけど、内心は黒い塊でいっぱいだ。